集客を加速させる『ペルソナ設計』〜中小事業オーナーのための顧客理解術〜【第3回】

集客・売上が伸びる『数字の設計図』 〜中小事業オーナーのためのKPI活用術〜【第2回】の続きとなります。
Contents
数字の設計図の次に必要なこと
前回の記事では「数字の設計図」としてKPIを設定し、行動を成果につなげる手法をご紹介しました。
しかし、どれだけ数字を整えても「誰に届けるのか」が明確でなければ、施策は的外れになってしまいます。
SNSに力を入れても、本当に来てほしいお客さまに届いていなければ予約は増えません。
チラシを配っても、ターゲットとずれた層に届けば効果は出ません。
そこで今回にするのはテーマは 「ペルソナ設計」 です。
「ペルソナ設計」とは言い換えれば「理想のお客さま像を描くこと」です。
飲食店・小売店・美容サロン・クリニックなど、あらゆる事業でペルソナを設計し、そのペルソナ設計に基づいたマーケティングを実行することで、広告や販促が「勘」に頼るものではなく「狙って当てる」ものに変わります。
なぜペルソナ設計が必要か
ペルソナ設計とは、単なる「ターゲット層」ではなく、実際に存在しそうな1人のお客さまを想定して人物像をつくることです。
- 年齢
- 性別
- 職業や生活環境
- 趣味や価値観
- 情報の入手経路
こうした要素を組み合わせて「一人のキャラクター」として設定することで、SNS投稿や広告コピー、キャンペーンの方向性が明確になります。
ペルソナ設計の効果
- SNS投稿や広告の「言葉選び」が具体的になる
- 新規集客とリピーター獲得を分けて考えられる
- 無駄な施策に時間と費用を使わなくなる
「顧客」という数字を追いかけるのではなく、一人の「お客さま」としてイメージすることで、施策の軸がブレなくなるのです。
ペルソナ設計のよくある失敗例
ペルソナ設計はシンプルな概念ですが、やり方を間違えると逆効果になります。代表的な失敗を3つ紹介します。
年齢や性別だけで終わる
「30代女性」だけでは施策に落とし込むのは難しいです。
SNSを重視するのか、価格を重視するのか、人によって行動特性がまったく違うからです。
情報を追加して、より具体化させる必要があります。
理想化しすぎて現実味がない
「流行に敏感でSNS拡散力があるインフルエンサー女性」など、夢のようなお客さま像を描いてもあまり意味がありません。
実際に来店している人を基準に考える必要があります。
効果的なペルソナ設計の方法(セグメント→ペルソナ化)
失敗を避け、実際に役立つペルソナをつくるには、セグメントからペルソナに落とし込む流れが有効です。
ここからは、具体的に業種ごとのペルソナ設計を見ていきます。
顧客セグメントを洗い出す
来店者や利用者を「性別・年齢・地域・利用目的」で分類します。
代表的なお客さま像を選ぶ
すべてを対象にするのではなく、売上や来店数に直結する層を優先します。
行動や価値観を含める
- 週末に来店する
- 価格より雰囲気を重視
- 情報源はInstagram
など、実際の想定される行動を設定します。
業種別の改善ケース(飲食店・美容サロン・小売店)

ここでは先ほどの章「効果的なペルソナ設計の方法」を参考に、改善したペルソナ設計の例を挙げていきます。
飲食店(都内の和菓子店)の場合のペルソナ例

- 名前:鈴木 めくみ
- 年齢・性別:43歳・女性
- 家族構成:夫・子(10歳)
- 職業:会社員(保険会社・販売)
- 年収:520万円
- 居住場所:東京都(調布市)
- 趣味:週末に家族と商店街を訪れる
- 行動:子どもも少し大きくなり手が離れるようになった。そのため数年前よりフレックスでのフルタイム勤務となっており、平日はあまり自身の時間をとれていない。子どもと一緒に過ごす時間も大切にしており、休日は積極的に夫・子どもと共に外出することが多い。共働きであるが、生活水準が高いという感覚は全くなく、子育て・仕事の両立に苦労している。甘いものが好きで、近所の甘味処を定期的に調べてブックマークしている。
- 情報収集:Instagram, YouTube, 食べログ
美容サロン(郊外のネイルサロン)の場合のペルソナ例

- 名前:吉田 茉莉
- 年齢・性別:20歳・女性
- 家族構成:母・父・弟
- 職業:大学生(サブカル雑貨店アルバイト)
- 年収:90万円
- 居住場所:埼玉県(川越市)
- 趣味:推しグッズ収集
- 行動:都内の大学に通っているが、川越からの通学は遠く、同級生の一人暮らしを羨ましいと感じている。平日は池袋でバイトしており、近所でバイトするより時給が高くやりがいを感じている。とあるスマホゲームに熱中しており、推しキャラクターのグッズを収集している。身につけるものにはこだわりがあり、自身のファッションに馴染む形での推し活をしている。一方で使える予算にも限界があり、今度見に行くミュージカルには、推しカラーを取り入れたいと考え、安価なネイルサロンを探している。
- 情報収集:Instagram, X, YouTube, Pinterest, Netflix
小売業(都内の書店)の場合のペルソナ例

- 名前:佐藤 和樹
- 年齢・性別:32歳・男性
- 家族構成:一人暮らし
- 職業:会社員(IT業種)
- 年収:550万円
- 居住場所:東京都(北区)
- 趣味:ゲーム
- 行動:大学卒業後、SEとして働いていたが、残業時間が多く、数年前に転職。最近はライフワークバランスを重視したいと考えるようになった。SEたるもの知識はアップデートし続けないと考えているが、最近昇格し管理職一歩手前に。マネジメントスキルも高めていきたいと考えている。プライベートは基本インドア。近所にある書店でビジネス書を探したいと考えている。
- 情報収集:X, YouTube, Twitch, Podcast
どうでしょうか?割とペルソナ像を考えるのは時間のかかる作業のように思えます。
ですがこのように「セグメント → ペルソナ像」に落とし込むと、業種ごとのお客さま像が一気に具体化します。
また、今回私はペルソナ像のイメージイラストを描きましたが、フリー素材などでも問題ないので、イメージに近い人物の画像を入れておきましょう。
今日からできる実践ステップ
まずは仮説を立てることが大切です。
- 最近来店したお客さまを3〜5人思い浮かべて特徴を書き出す
- 共通点をまとめて「人物像」をつくる
- その人物がどんな行動を取るかを1文で整理する
(例:35歳女性、都内在住、子育て中。月1回のご褒美ランチを楽しみにしている)
こうした簡易設計をベースに、数字やKPIと照らし合わせながら修正を重ねていくことで、本当に成果を出せるペルソナに近づきます。

ペルソナ設計で施策が具体化する
第2回で扱った「数字の設計図」に加え、今回のテーマである 「ペルソナ設計」 を取り入れることで、施策の方向性が一気に明確になります。
「誰に届けるのか」が定まれば、広告コピー、SNS投稿、商品企画、サービス提供すべてがブレなくなります。
ペルソナ像をチームや会社の共通認識にすれば、皆が同じターゲットに対して、同じ方向を向いて施策を進めていくことができます。
限られた予算や時間で成果を上げるためには、数字とお客さま像の両方を捉えていかねばなりません。
次回は、この「ペルソナ」が実際にどのように行動するのか、認知から購買までの流れを描く「カスタマージャーニー」を解説します。
投稿者プロフィール
